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自分を見つめていた男が気になったのだろうか。
いつの間にか二人は見つめ合うような形になっていた。
二人の距離はお互いの顔が見える
最低限の距離だった。
静かな状態が続く。
その沈黙を破るようにヒールの
音が響いた。
カツカツと大きく音を鳴らして
女が男に近づいた。
そして男の耳元に唇を少しあてて
こう呟いた。
「お願い……。私を抱いて…。」
すぎて行く人々は二人を
横目で見ては去って行った。
男が唾を飲む音がごくりと
静かに鳴った。
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