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「……親父!?」
扉を開いた光太郎は、まずそう言った。
震える光太郎の肩越しに、黒崎燐は扉のその向こうを見る。
警察からの電話では『諸事情で迎えに行けないので、私の代わりのものが向かう』と聞いてはいたが――そこにいたのは、紛れもない光太郎の父、岸波裕二だった。
神田彰に、岸波裕二。それまでは親友達の肉親でしかなかった人物達が、段々とその意味合いを変化させて行くことに、燐は恐怖感を覚えた。
それから、光太郎は無言のまま、裕二とその後ろに付き従っていた渡真利嘉孝という男を研究所に招き入れる。
部屋では通報した田畑、美奈、ジアの三人がメモリーカードの中身を起動させて待機していた。
これも指示で、すぐに中身を確認できるようにと指示があったためである。
「一体、どういうことだ?」
部屋に入ってきた自らの肉親、裕二の胸倉を掴んで、光太郎は問うた。
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