Code.2『プロビデンス・アイ』

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「それは違うんじゃないかな?」  燐が言葉を選定するよりも早く言葉を出したのは、美奈だった。 少しその表情が自分と似た怒りに満たされている所を見ると、同じ感情を抱いているのだろう。 「ほう……何が違うと言うんだね?」  自分から視線が外れ、今度は美奈へと先程の目が向けられる。 その瞬間自分の背筋に一滴の水滴が落下するのを感じた燐は、やはり裕二の気に押されていたと、自分自身で認識できた。 「……光太郎のお父さんは、私達に信用してもらわないといけない立場。だけど私達は、〝コレ〟を渡すのに信用出来る人か、疑う立場」 と、メモリーカードを田畑から受け取った美奈は、裕二にそのまま掲げ、続けた。 「私達は感情でしか判断できないけど、光太郎のお父さん達は証明して納得させることが出来るんじゃないの?」  そこまで言うと、美奈は少しだけ硬い笑みを浮かべ「事情とやらを、無視できればだけど」とまで言った。
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