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再び助けを求めるように光太郎に視線を送った。
しかし彼の表情も自分と同じように困惑していた。それの成す意味は簡単、彼にもわかっていないのだ。
その表情を読み取ったのか、裕二が流石親子と言うタイミングで声を出す。
「無理もない。一般には公表されていないからな」
「一般には公表されてない? つまり、機密組織みたいなってこと?」
そう考えたら、先程の詳しくは言えないといった意味が理解できる。だが――
「そうだとしても……やっぱり、証拠がない」
そう。証拠がない。身分証明書のようなものが無ければ、口任せの嘘だと考えることが出来る。
疑いは疑念を呼び、疑念は不信感を際立たせる。
「証拠、か……」
ただ、裕二の言うように機密組織ならば、そのような身分を証明するものを持ち歩いているとは考えがたい。
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