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しかしもしそれを証明できるのなら、それは確固たる信頼と信用を授けることが出来る。
言葉を詰まらせる裕二。何も言えないのか、証拠を有していないのか。
どちらにせよこのままでは渡すことは出来ない。
燐が断りの言葉を入れようとした、その時だった。
「しょうがないか……」
諦めの一言。
全てを投げ出すように、裕二は胸ポケットから手帳を取り出し、燐の元へ投げ捨てた。
首で軽く渡真利のことを促すと堪忍したように似た黒い手帳を投げ捨てた。
黒の手帳が二つ、結果的に重なるようになったそれらを拾い上げた燐は「これは?」と訊いた。
「その手帳の一番最後のページに、個人情報を記録したコードが内蔵されている。ここの設備を使えば、中身を見れるだろう?」
一番最後のページを開く。するとそのページだけが真っ黒に染まっていた。
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