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「ここに証拠が?」
「調べてみたらわかるさ」
そう呟いた田畑は燐の手から手帳を受け取り、にっと笑った。
◆
田畑が作業を終えて再び部屋に戻ってきた。時間にして約五分。プロのなせる技に感心したのも束の間、田畑の声が響く。
「確かに見させてもらった。アンタ等がプロビデンスなんやらに属していることは確かみたいだな」
どこか抽象的で意味がはっきり捉えられない。美奈も同じことを感じたのだろうか「何が記録されていたのですか?」と問いた。
「最後の黒いページ、これにはコードと言うものが隠されていてな」
「コード?」
「コードとは、メッセージを特別な知識や情報無しでは意味が分からないように変換する秘匿手段の一つ。言わば、暗号のようなものだ」
一息にそこまで言うと息を深く吸い込み「そのコードの中に、メンバーっぽい情報が記載されていた」と続けた。
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