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「メンバーの情報って?」
「個人情報が主で、その他には各々に与えられた役職が記載してあるんだ。そうですよね? 岸波班長に、部下の渡真利さん?」
そう言うと首を二回縦に振って裕二は肯定した。渡真利も同じようにうなずく。
班長――クラスで定められた学校内の意味とは全然違う重みを醸し出している。
それはおそらく後ろ盾の単位の差なのだろうと、燐は気づいていた。
児童と、国。比べてみれば、その差は明白だ。
「しかし、あの短時間でよくそこまで調べられたものですな、流石だ」
賛辞と共に拍手を送る裕二の目は、やはり笑っていない。
それでいて反対に笑みを浮かべる口元は、漂う不気味さを一層際立たせていた。
「本業……ですから」
そう答え、田畑はメモリーカードを取り出す。
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