Code.3『凶弾』

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 裕二に見せた威勢の良さは何処へやら。神田美奈は成長したのではなく、一人の女子生徒であることを再認識させる表情だった。 「どうしたの? 考え事?」  唐突に美奈に話しかけられたことによって、過去から現在へと引き戻される。 「何でもない」と素っ気なく返答すると、話題を変えるついでに「もう少し向こう側に詰められないか?」と訊いた。  と言うのも、現在渡真利の車で移動している最中で、後部座席に燐を含めた四人が座っている状況である。 元々二人ほどの小人数を想定して作られたであろう座席に倍の人数が座れば、それはもう朝の満員電車の比ではない。 肩が触れる、と言うより肩が重なると表現した方が正しかった。 「コッチもギリギリなの。我慢してよ。ジアちゃんなんか、泣きそうになってるんだから」  ひそひそと小さい声で話す美奈。その右隣に座る、ジアを見た。  確かに涙目になりながら、肩を潜めている。  これ以上詰めたら泣いてしまいそうだ。
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