Code.0『メモリーカード』

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「ああ。去年までは一日中休みだったのによ……。ふざけんなって」  そう。去年までは――いや、今年も例外なく、一昨日までは休みの予定だった。  突然の通達。放課後、全校集会が開かれ、そこで今日の〝午後だけ授業〟の開催が発表された。 「全くを持って同感。皆で遠出しよう、って話してた途中だったからね」  気分は最悪。燐だけではなくクラス全体、それどころか学校全体の雰囲気は淀んだ空気に包まれている。 今年だけならまだしも、来年も、続いてしまう事態になってしまったら、貴重な休日が水の泡となってしまう。 クラスからは、抗議をしよう、真意を確かめようなど、様々な声が飛び交っていた。  そんな中、学校の鐘が鳴り響く。授業開始の合図で一斉に生徒達は各々の席へ着いた。  そして、それを確認したかのように一呼吸置いた所で、教室の四隅それぞれに置かれた機械――立体映像投影機(3Dプロジェクター)――が唸(うな)りを上げた。
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