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一度、光太郎は頷き「予想以上と言うか、常識の範疇を突き抜けている」と言った。
その顔はいつになく真剣そのもので、ふざけているような様子は微塵も見せていない。
予想以上。どこか間抜けな言い方、表現かもしれないが、見方を変えてしまえば〝それ以外に比喩しようがない〟とも取れた。
「一発撃たれたんだ。もう中途半端なことじゃ驚かないぜ?」
逆に、燐はおどけた様子で言った。と言うより、真面目に聞いてしまうと、それだけで狂ってしまうような、そんな予感がしたからだった。
瞬間、部屋の明かりが落とし、暗闇が襲う。
背後でピクッと体を震わしたジアに「カーテンの外を見てきな」と諭すと、ジアはコクりと一回頷き、トコトコと窓の方へと駆けて行った。
「それじゃあ、解析した内容を、壁に映す。生憎、この研究所には3D機能持ちの機器はないんでね」
田畑の言葉を皮切りに、部屋の中央に置かれた古いプロジェクターが、唸りを上げた。
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