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電話口から少ない単語で内容を伝えられると、渡真利は携帯を閉じて「朗報っス」と傍らで夢の世界に逃げ込んでいた裕二に語りかける。
眠気混じりの顔は反応する様子が無いので、渡真利は「警察から連絡が来ました」と続けた。
「警察から朗報?」
ようやく覚醒し始めたであろう裕二が言う。
寝起きで冗談を言っていると錯覚でもしているのだろうか、表情に眠気は見えなかったが代わりに小ばかにしたような雰囲気が漂っていた。
「ウス。なんでも、不思議なメモリーカードを見つけたとか……通報したのは若い女だったそうっス」
「……なんだと!?」
少しの間を置いて、あからさまに反応する裕二に少しばかりの高揚感を抱きつつ「ほ、他に情報は!?」との質問に、渡真利は答える。
「場所は茨城県水戸市。技術開発研究所らしいっス」
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