Code.2『プロビデンス・アイ』

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 普通ならば警察官が自ら赴いたり通報者が届け出たりするのが一般で、その後、自分達に回ってくる。これが自然な流れだ。 しかし、微かな光明にすら飢えていた祐二はその過程の時間すら惜しく、自らこの引き渡し役を引き受けた。  過程を省いた、言葉では簡単でも、その重みは桁違いだ。ただ捉え方を変えれば、それはそれだけ祐二が追い詰められていることを意味していた。 「警察からのご連絡がありました通り、通報にあったものを回収に参りました」  もちろん、渡真利は友人を通して連絡済みである。『待っていました』と応じた声に続いて、目の前の頑丈そうな扉が開いた。  扉から出てきたのは、一人の背の高い少年だった。  その瞬間――それまでは我を見失うほどに前進していた祐二が、一歩、二歩と後退した。  ワケがわからない渡真利だったが、祐二が発した言葉でその心理を知る。 「……光太郎?」  扉の奥に立っていた少年は、どこか祐二と顔立ちが似ていた。
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