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「失礼しましたー」
少し乱暴に職員室のドアを閉める。
さっきまで俺に説教していた教師の顔を思い出して心の中で舌打ちした。
授業中にちょこっとケータイいじってただけじゃん。
たったそれだけの為に俺の貴重な放課後は潰れ
やむを得ず美由紀ちゃんとのデートをキャンセルするハメになった。
今さっき教師の手から返ってきたケータイには、数通のメールが入っていた。
その一つ一つに目を通しながらも返信する気は失せていた。
名前も顔もうろ覚えな女の子の名前がズラリと並ぶ。
殆どが一回遊んで、メルアド交換して、のパターン。
それは恋じゃない。
そしてこれからも恋に発展することはないだろう。
自分の都合のいいように遊んで、ヤリたくなったらヤって。
俺にとって女の子というのはそういう対象だった。
その所為で俺に纏わる噂は決していいものではなかったけれど、恋に溺れるよりはよっぽどマシだと思う。
恋なんて一瞬だから美しいものであって
好きだとか、愛してるとかいくら並べても一時の気休めにしかすぎない。
いつかは終わるもの。永遠に続く感情なんて存在しない。
水色のランプが光る。
メール受信の合図。
そのメールを開く前にケータイの電源を切った。
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