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リングは屋外に作られており、その周囲を何万と言う観衆が取り囲んでいた。
強打を誇る若き王者フォアマンとピークを過ぎたアリ。それでも、そこに居たほとんど全ての人がアリの勝利を熱望し、アリの勝利を確信していた。
何故人々がここまでアリに熱狂するのか、山井にはわからなかった。だが、熱とは不思議なものだ。ワケもわからないまま、山井も人々から熱をうつされ、人々と共に叫んでいた。
異様な熱気の中、ゴングが鳴らされた。モハメド・アリとジョージ・フォアマンによる世界ヘビー級タイトルマッチの幕開けであった。
山井は人ごみを掻き分け、可能な限りリングに近づいた。
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