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「あっ……ごめんなさい。起こしてしまいましたか?」
俺の気配に気づいたのか、急に振り向いて俺を確認すると微笑みながら中へと戻りながら俺を気遣う。
「いや、なんとなく目が覚めてしまってな……ユウは、こんな時間に何をしていたんだ?」
「……私、こんなに幸せでいいのかな……って考えてしまって……外の空気を吸って考えないようにしようと思い、外に出たら月が綺麗だったんで見惚れてました。」
この子は、この子なりに悩んでいたんだ……。心配させまいと必死に隠していたんじゃないか……。気付いてやれないなんて兄失格だな……。今でも俺を気遣ってくれている。
「約束するよ。俺が、お前を必ず幸せにしてやる。ユウの幸せを俺の幸せにする。だから、二人で幸せになろう。」
「……敦士さん……なんだかプロポーズみたいですね」
……。俺は、ユウの発言に赤面していたと思う。顔が熱いのが自分でも分かる。この前から調子が狂っている。きっとそうに違いないと自分に言い聞かせる。
「ってか、敦士さんじゃねー!!お兄様とかお兄ちゃんとかで呼べ!!他人行儀は兄として許さん。」
「そうですね……兄さん。お兄様とかお兄ちゃんと呼ぶのは抵抗があるので、兄さんと呼ばせてもらいますね……兄さん、宜しいですか?」
なんとなく胸が苦しくなった。丁寧な口調で兄さんと呼ばれる事で俺の背徳感が増したのだろう。とても妖艶な感じがするのは俺だけだろうか……。
「おはよう……。って、敦士の顔真っ赤だけど……どうかしたの?風邪でもひいた?」
「うぉっ!?あっ、あおいっ!?なっ……何でもないっ!!」
不意打ちを食らった俺は飛び上がるような思いで平然を装うとするが上手くいかず、あおいは不思議そうな顔をしている。ふとユウの方へ目線をそらすと楽しそうにケラケラと笑う姿が目に入り俺の胸は更に苦しく感じたが、同時に嬉しさで暖かな気持ちになっていた。
陽大さんとレオナさんは、仕事があるからとあおいを残して先に帰って行った。
今度、お礼をしなければとか考えていたんだが……考えているうちに昨日の疲れが溜まっていたのか意識が遠のいてしまう。
「……さん……に……さ……にい……」
何だ……気持ちが良いのに誰が邪魔をしているんだ……もう少しだけ、この気持ちよさの中に居たい……。
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