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彼は結構敏感な方で、気配なんかは直ぐに気付く人だ。
こんな熱視線に気付かない訳がなかった。
彼に警戒した視線を向けられるまで、自分が何を求めていたか解らなかった。つくづく俺ってダメツナ。
こっちを向いて欲しいだなんて、何処の恋する乙女だよ…
俺に気付いた獄寺君は、口をポカッと開けて、そのせいでくわえていた煙草は落ちて(危ないよな‥足に落ちたらどうするのさ)直ぐに何時もの笑みを浮かべた。折角の良い男が台なしだ。
「10代目ぇぇえぇええ!!!!」
君は飼い主を見つけた犬ですか。そうですか。
手を大きく降る君に苦笑しつつ小さく振り返す。
腕に掛けたビニールがガサガサ鳴った。
「お使いですか??奇遇ですねこんな所で会うなんて!」
歩道橋の下。落ち合った君と俺はそのまま帰路に付く。
「獄寺君っ大丈夫だからいいってば!!」
「いえいえ、10代目をお守りするのが右腕の使命ですから!!お任せ下さい!!!」
頼んでもない(寧ろ断った)のにしっかり送っていってくれて、
これまた頼んでもない(だから断ったって)のにちゃっかり荷物を全部もってくれた。
右腕ですから!!
って笑って。
この気持ちは何??
これだけやって気付かない程俺は愚かではないが、
簡単に、素直に受け入れられる程馬鹿(おろ)かでも無い。
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