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(こんなやつ見たことねぇぞー…!?)
感染者のやられ方からして、生身の人間の仕業ではない。おそらく彼も能力持ちのはずである。
少年は異質だった。
整った顔に黒髪、暗い青色のファー付きのコート。そこまでは普通なのだが、右手には日本刀、そして左目には眼帯をしていた。
さまざまな国籍の人々が集まっているとはいえ、日本刀を帯刀してる人はいないはずなのだが。
(助けてくれたのか…?)
敵か、味方か。
一方、黒髪の少年は暁を凝視しー…舌打ちをした。
(はぁ!?)
「なんだ、お前軍部のやつか。」
「だったらなんだ…」
「…お前、弱いな。」
見下すように、少年は暁を鼻で笑った。
(は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?)
「なんだてめぇぇぇぇ!!!名乗れ!!喧嘩売ってんのか!?あぁ!!!?」
「黙れ耳障りだ。…チッ、政府の人間なら助けなきゃかったな。」
そう言うと黒髪の少年はくるりと暁に背を向けた。
「ちょっと待て!お前能力持ってるよな?政府の人間じゃないのか!?」
はぁ、と少年はため息をつきながら振り返る。
いつもの暁なら飛び蹴りの一発でもかましてやったが、今は腕とあばらを折る重症のため、怒りを堪える。
「なんにも知らねぇのか。お前ランクはー…銅?は、銅ランクごときがなんでここにー…」
(銅ランクごとき、だぁ!?)
我慢の限界である。怪我していることを忘れ、つかみかかるため起き上がろうとした暁はー…何かに踏みつけられた。
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