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「よーし、足止めは暁に任せて、俺たちも向かうか!」
「………暁君の始末書は免れても、あなたの始末書からは免れられませんからね?」
部隊長補佐のオーラが、黒い。
「紫樹(しき)……。俺は感染者よりもお前がこええよ。」
駆馬は仕事熱心な部下に大きくため息をついた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「おらっ…よ!」
ゴミ箱、落ちていた看板、ベニヤ板を蹴っ飛ばし、S-25地区に向かって進む。ここらの建物はほとんどが廃墟。それらが競り出るように建っていた。
狙うはターゲットである『感染者』とよばれる化け物。
感染者については後で説明しよう。
「!!!?」
突如、大量の窓ガラスが降り注ぐ。
ガラスを叩き割ったのは……巨大な黒い手。
「見つけた!!感染者ぁぁぁぁぁぁ!!」
暁は巨大な鎌を構えた。
それは、人間の形をしていた。
しかし、あまりにも巨大で、歪だった。
人形をした黒い塊。そういうのが妥当だろう。
「グオオオオオオオオオオオ!!!!」
化け物。だが、暁は動じない。
「呻き声上げるしか脳がねぇのか!?上等!!俺が相手だ!」
(大丈夫。でかいのは図体だけで、知能は無い。俺でもやれるさ!)
暁は飛び上がった。狙うは……
「その右手だ、あぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ボゥッ!!!
発火音。気づいたときには感染者は炎に包まれていた。
「グオオオオオオオオオオオっ!!!グオオオオオオオオオオオっ!!!」
火だるまになった感染者は、身をよじって暴れるが、そのまま力尽きたように地面に崩れ落ちた。
「このクソ目障りな炎は…」
「おらあっこのクソガキが!戦闘はすんなっつったろうが!!!」
部隊長、駆馬である。
「あいっかわらず人間離れした能力をお持ちのよーで。」
ケッ、と、思いっきり不貞腐れる。戦闘を邪魔されたのがよほど悔しいのだろう。
「ぼやくな阿呆。能力のねぇお前が感染者とまともに戦えるわけねーだろ。」
「そーですよー。どーせ俺は召集すらされない銅ランクですよー。」
「じゃあどうして召集されていないはずの暁君が、ここにいるんでしょうか?」
振り返らずともわかる。黒いオーラ。
((し、死亡フラグ!!!))
瞬時に二人は後方に飛び退いたが。
「私の始末書の山から逃れられるとでも?」
悪魔のような笑顔でフィニッシュ。瞬殺である。
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