第一話 アンダーワールド

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「よーし、足止めは暁に任せて、俺たちも向かうか!」 「………暁君の始末書は免れても、あなたの始末書からは免れられませんからね?」 部隊長補佐のオーラが、黒い。 「紫樹(しき)……。俺は感染者よりもお前がこええよ。」 駆馬は仕事熱心な部下に大きくため息をついた。 ーーーーーーーーーーーーーーー 「おらっ…よ!」 ゴミ箱、落ちていた看板、ベニヤ板を蹴っ飛ばし、S-25地区に向かって進む。ここらの建物はほとんどが廃墟。それらが競り出るように建っていた。 狙うはターゲットである『感染者』とよばれる化け物。 感染者については後で説明しよう。 「!!!?」 突如、大量の窓ガラスが降り注ぐ。 ガラスを叩き割ったのは……巨大な黒い手。 「見つけた!!感染者ぁぁぁぁぁぁ!!」 暁は巨大な鎌を構えた。 それは、人間の形をしていた。 しかし、あまりにも巨大で、歪だった。 人形をした黒い塊。そういうのが妥当だろう。 「グオオオオオオオオオオオ!!!!」 化け物。だが、暁は動じない。 「呻き声上げるしか脳がねぇのか!?上等!!俺が相手だ!」 (大丈夫。でかいのは図体だけで、知能は無い。俺でもやれるさ!) 暁は飛び上がった。狙うは…… 「その右手だ、あぁぁぁぁぁぁっ!!!」 ボゥッ!!! 発火音。気づいたときには感染者は炎に包まれていた。 「グオオオオオオオオオオオっ!!!グオオオオオオオオオオオっ!!!」 火だるまになった感染者は、身をよじって暴れるが、そのまま力尽きたように地面に崩れ落ちた。 「このクソ目障りな炎は…」 「おらあっこのクソガキが!戦闘はすんなっつったろうが!!!」 部隊長、駆馬である。 「あいっかわらず人間離れした能力をお持ちのよーで。」 ケッ、と、思いっきり不貞腐れる。戦闘を邪魔されたのがよほど悔しいのだろう。 「ぼやくな阿呆。能力のねぇお前が感染者とまともに戦えるわけねーだろ。」 「そーですよー。どーせ俺は召集すらされない銅ランクですよー。」 「じゃあどうして召集されていないはずの暁君が、ここにいるんでしょうか?」 振り返らずともわかる。黒いオーラ。 ((し、死亡フラグ!!!)) 瞬時に二人は後方に飛び退いたが。 「私の始末書の山から逃れられるとでも?」 悪魔のような笑顔でフィニッシュ。瞬殺である。
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