第一話 アンダーワールド

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「うわあああああ、うわああああああああ!!!」 「発見したときはもうこの状態で…。」 壁にもたれるようにして座り込んでいる男は、顔を覆い絶叫している。 「おい、周辺はどうなってる。」 「はい。周辺は機械兵が閉鎖し、残りのメンバーで被害確認を行っております。」 「了解。お前ももう行っていいぞ。」 威勢よくあいさつし、散っていく隊員達。 「ー…でぇ、こちらさんか」 駆馬が男を見ると、「ひぃっ!」と怯えるように縮こまった。 「あり?」 「しかたないですよ。駆馬目付き悪いから……ほら。持ってました。」 ガサゴソと男の私物らしき物を漁ると、中からラムネくらいの粒が入った小袋が出てきた。 「決定的だな…。紫樹、表に護送車呼んどけ。」 「了か…「全部てめぇら政府の連中が悪りぃんだあぁあぁ!!!」 急に男は立ち上がり、殴りかかってきた。 ………紫樹に向かって。 「やめろ馬鹿!!!」「紫樹さん!!」 「いっ…でえええええええええええええええ!!!」 グギリ、と、鈍い音。 「どうやら反政府運動をしている連中の一人のようですね…。暁君。すみませんが救急車も呼んでおいてください。関節を外してしまったようです。」 「……了解です。」 「だからやめろって言ったのに…。」 紫樹は細身に銀の長髪で、女性に間違えられることがあるほど美人だ。 ……が、その実恐ろしいほどに武道派の上、手加減というものを知らない。 「紫樹…関節はいろいろまずいって…。」 「正当防衛。」 紫樹はさらりと答えた。 「まぁでもこの男も今ので頭の血も下りたでしょう。」 「いや、やりすぎだって。逆に血の気が無さすぎて顔面蒼白になってるんだけど。」 可愛そうに男は手首を押さえて震えていた。 「おいお前、この薬どこから入手した。」 「知らねぇよ!あいつっ…あいつが勝手に持ってきて!!飲んだ瞬間に…な、なんなんだよあれ!!あれ飲めばお前らと同じ能力が使えるんじゃっ……!?「落ち着け。」 男はさらにわめきだす。 「落ち着いていられるか!!あれ飲んだらあいつ……黒い化け物になったんだぞ!!?」 「………やっぱりそうか。」 ……そう。あの感染者と呼ばれる化け物は、元は我々と同じ人間なのだ。
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