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そしてそのまま歩くこと10分。
「う・・・いないよぉ・・・」
少し日が暮れ始めた頃、アヤちゃんが目を潤ませながら言った
「な、泣くな。見つかるから。絶対見つける。」
つもりだが・・・
・・・不安だ。
精神力を使うのも、この小さい体では限界に達している。
でも、小さい子に泣かれてしまうと・・・
手を差し伸べられずにはいられない。
僕が最後の力を振り絞って、再び捜し始めた時。
「あーちゃーん!」
後ろの方、少し遠い場所で聴こえた声を拾うことができた。
「あやちゃん、もうすぐ逢えるから、ちょっと戻るよ。」
「ぇ・・・」
疲れ果てて走れないあやちゃんをお姫様抱っこで抱き上げて、少し走ると・・・
「あーちゃん!」
「そー・・・くん・・・」
やっとの思いで逢えたそーくんは、肩を上下させながらも、
飛び込んできたあやちゃんを安心したような目で見ていた。
僕が何と無くそれを見届けていると、そーくんは顔を上げて僕を見た。
「えっと、僕、荘太(そうた)って言います。あーちゃんを見ててくれてありがとうございます。」
「ん・・・じゃあ、気を付けて帰れよ。」
「はい!あーちゃん、行こう。」
「うん!」
泣きじゃくっていたあやちゃんは笑顔を取り戻して、荘太くんの手を握って帰って行った。
・・・さて。
僕はどうしようか。
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