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汚染された空気で作り出された暗雲が空に広がり、豪雨が降り続く中。
「銃を構えろ!隈無く探せ!」
「No.10を捕まえろ!!隊長の指示だ!!」
体を覆う鉄の鎧を着た多勢の軍隊を率いる者が、No.10を捜せとの指示を叫ぶ。
「僕を探す必要がどこにある・・・?」
その指示を影で聞き取り呟くのは、軍隊のターゲット・・・つまり、No.10。
灰色の世界には眩しい、黄色く透き通った一筋の色が入った漆黒の髪を短くウルフカットにしている。
真っ白な肌には、ベストから出された腕や肩、フードに隠れた顔等に無数の傷が付いており、見るからに痛々しい。
「いたぞ!捕まえろ!」
その声が聞こえると、No.10は地面を勢いよく蹴りあげ、1m高い瓦礫の上へ。
それと同時に銃弾が発砲されて何度も掠める。
「っう!」
避けきるのに限界が来たのか一発当たりよろけるが、尚も走り続けてスピードを落とさない。
が、そんな足掻きも虚しく。
走り逃げた先は崖。
干上がった川に架けられていたはずの橋が崩壊し、道が瓦礫と化して敷き詰められていた。
高低差は・・・約6m。
(不味いな・・・)
手持ちは耳につけた受信を切断したインカムと、ウエストポーチに入った小型ナイフ、小型銃と銃弾5連のみ。
ここを降りるための道具はなく、ここから飛び降りれば待ち受けるのは死。
ー死んでもいい。おとなしく捕まることは嫌だ。
そんな思考で自己論を纏めると、口角をつ、と吊り上げた。
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