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「・・・蒼暁ちゃん、この傷痕・・・」
掠れたような声が背後にいるお姉さんから発せられた。
「傷痕・・・?あぁ、気にしないで下さい。」
「いいえっ!気にせずにというには無理があるわ。火傷でも治療は必要なの、女の子ならわかるでしょう?」
治療はしなきゃいけないと分かっているけど、女の子としては分からない。
お陰で上半身が包帯で覆われたが、不思議と動きにくいことはなく、着物を来てもそれは同じだった。
「包帯巻くの、上手ですね。」
「宗次郎もよく怪我をして帰ってくるから・・・あ!宗次郎、あんたも包帯巻き直すからこっちに来なさい。」
「もういいって。ほら、子供はすぐに治るし。どうだっていいでしょ!」
僕と同じこと言ってるし。
「だめ。来なさい。いや、来い。今すぐ。早く。」
・・・なんかお姉さんのオーラが黒くなってきた。
これが真っ黒になる前にと、僕はさりげなく布団から出て宗次郎を後ろから押さえ込んだ。
「うわっ!」「大人しく治療されろ。何も痛いことはないだろう。」
「蒼暁ちゃん、ありがとう!でも、後ろから抱き締めたままだと無理だから、肩掴んどいてくれるかな?」
「了解しました。」
宗次郎が逃げ出せないように、肩を押さえながら真正面に移動。
「・・・蒼暁ちゃんの意地悪。」「・・・。」
・・・・その結果必然的にじっと見つめられる形で時間をやり過ごした。
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