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ー沖田宗次郎sideー
蒼暁が先に眠りについた頃、僕とミツ姉は持っていく荷物を全て纏めていた。
「全く・・・宗次郎、蒼暁ちゃんに何したの?」
ミツ姉があきれたように言う。
「僕は何も・・・」
あ・・・でも、蹴っちゃったな・・・
起きたら謝ろう。
「じゃあ何でこんな傷があるの?・・・それにこの子、小刀まで持ってるし、髪の色も違うわ。」
そう言われて、僕は改めて蒼暁ちゃんの方を見る。
黄色くて短い髪の毛と、女の子にしては凛々しく、整った顔立ち。
さっき見つめてて分かったけど、目の色も少し紅かったような気がする。
「蒼暁ちゃん・・・家族も家もないって言ってた。・・・他のことは教えてくれなかったけど、沖田っていう姓で名付けられたのは教えてくれたよ。」
「名付けられた、ってことは・・・その名前は本当の姓ではないのかもしれないのね・・・。」
そういってミツ姉は何か考えるような素振りを見せた。
何を考えているか聞こうと口を開きかけたとき、パッと顔をあげて笑って見せた。
「宗次郎。もしかしたらそれは運命なのかもね。」
え?考えた結果がそれ?
「まぁ、蒼暁ちゃんがこの先どうするのかは解らないけど、できるだけ仲良くいきなさいよ?」
「・・・わかった。」
僕がそういうと、ミツ姉は少し真面目だった表情を崩して、
「そういうと思った。宗次郎は根が優しいからね。」
と言った。
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