1、はじまり

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―――――――――――――――――――― 現在時刻は10時を少し回ったところだ。日奈は朝ごはんを食べた後家に帰って行った。ちなみに朝食だが俺が作った。と、いうより我が家では家事全般は俺がこなしていたりする。 理由は『母さん』――父さんの再婚相手で俺の育ての母親――にある。あぁ、ちなみに産みの方は『お母さん』と呼んでいる。 とりあえず母さんは看護師をしており夜勤が多い。昼夜逆転の生活が多く、自然と家事をする時間が無くなりその代わりに俺が家事をしているという感じだ。たまに下の弟妹達が手伝ってはくれる。 ちなみにその弟妹達はもう学校に行った。 閑話休題。 今はスーツに着替え、お母さんの遺影が飾ってある仏壇に向かって合掌中。 「それじゃ、行ってくるよ」 最後に遺影にむかって言い、玄関に向かう。 「母さん、いってきます」 「いってらっしゃーい、入学式行くからねー」という眠たそうな声に「無理しないでよ」と言い玄関を出る。 会話ともいえない言葉のやり取り、これが母さんとの最後の会話になるとはこのときはすこしも思っていなかった。 ―――――――――――――――――――― 玄関を出て数秒、現在立派な門扉の前に立っております。 ここは日奈の家である。 言い忘れていたが日奈の家、竜崎家は“や”の付く自由業を営んでいる。でも活動内容が町の清掃だったり、何かのイベントでの風船配りだったりとなんかずれている。 門扉の脇にある小さな扉をくぐり中へと入る。中にはかなり広い庭がひろがっていた。 「おう、空坊(そらぼう)おはようさん」 扉をくぐった瞬間白髪交じりのおじさんに声をかけられる。もちろんここの関係者だ。 というか一番偉い人。日奈の父親だ。 「おはようございます。時間的にはこんにちは、な気もしますけど。日奈はいますか?」 「あぁ、日奈だったらもう少しで来ると思うぜ」 「それじゃあ少し待たせてもらいます」
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