1、はじまり

5/6
前へ
/132ページ
次へ
その後2,3分ほど日奈の父親(将来的にはお義父さん)と会話をしていた。顔見知りだから会話ぐらいはできるさ。 「お待たせ~」 という陽気な声が響いてきたと同時に体の背面から軽い衝撃を食らう。 それはタイトスカートのスーツを着た日奈だった。 「相変わらずあついのぅ、日奈と空坊は」 と、日奈の父親ががからかってきた。 「それはあなたのせいでもあるんですけどね」 「ワハハ、そいつぁちげぇねぇや」 ちょっと反論したら軽く流された。まぁいいか。 なぜ比奈の父親が関係あるかという説明は少しややこしいので話さない。許嫁ということが関係してくるのだけれど。 「ところで日奈、俺何か忘れているような気がするんだけど」 「奇遇だね、私も何か忘れているような気がしてたんだよ」 ふと何かを忘れている気がしたので日奈に聞いてみる。なんだっけ。 「ちょっとまったああぁぁぁ!!」 悩んでいたところ突如として後ろから声がかかる。 あっ、なにを忘れているか思い出した。 「なんで空も日奈も俺をおいていこうとしてんだよ!?」 俺は振り向いて声の主に言う 「ごめん、すっかり忘れてたわ“ケン”」 「お前俺の幼馴染だろ。日奈にいたっては双子の姉弟だろうが!」 すっかり忘れていた彼の紹介しよう。 このちょっとうるさいやつは竜崎 剣斗(りゅうざき けんと)。俺の幼馴染であり、日奈の双子の弟。高校のころは剣道の大会で全国3位を取った実力者だ。ちなみに“ケン”っていうのはあだ名で俺がよく使っている。 身長は俺よりも少し高く、髪は染めてもいないのに明るい茶髪。 目はつり目で髪色と相まって、きつい印象を受ける事があるので本人曰くそれがコンプレックスらしい。 体は剣道をやっていたこともあり、それなりに鍛えているためスーツがよく似合っている。 鍛えているといっても細マッチョ程度だが。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加