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田舎の人間は親切だとはよく言われることだが、実際にはごくごく規模の小さな村などでは、余所者をひどく嫌ったりと排他的であることは少なくない。
特にこんな山間(やまあい)の村では、滅多に外から人など来はしないのだろう、青年の姿を認めるなり戸を閉める音が聞こえてくるのは、流石に気分がよくなかった。
青年の実家も、勿論世話になっている屋敷の辺りからすれば大層な田舎だが、それでも近くに山がない分拓けていたように思える。
「あれ?」
村をほとんど通り抜けてしまい宿探しを諦めかけた頃、暮れかけた陽に大きな屋敷が目に入った。
こんな村には似つかわしくないほどの、いや、こんな場所だからこそなのか、どっしりと構えた屋敷である。
地主さんとかかな、と、門の前まで来て、その大きさに思わず見上げる。
それにしては随分と村から離れたところにある。
それに、立派だが、どことなくひっそりと沈んだ感があるのは屋敷の古さの所為だろうか。
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