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 いつものように床に座り込んで足湯で温もった足に触れ、膝を抱えてぼんやりと敷物の模様を眺めていた。薬湯のせいか微睡みはじめたところで目をゆっくり閉じ、ミュカに言われたことを頭の中で整理する。 ――妾はそなたに寄り添いたい  傍に転がされていた腕の剥製――弟の腕を切り落として作ったそれに指先で触れ、いつものように抱きしめるか逡巡して、やめた。  どうしていいか解らない気持ちの置き場所を考えるうち、微睡んでいた意識がより深い眠りの方へと落ちていく。そのうち意識を手放して眠る…今度は、夢も見ないほど深く。 【終】
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