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ガラッ!!
「由紀~!苺大福持って来たぞ~」
最初の来訪者は、短い茶髪に赤い小袖の粋な青年。
「…?いないのか?」
廊下を歩きながら、苺大福と聞けば、いつもなら飛んでくる由紀が現れない事に、雷丸は眉を寄せる。
茶の間に辿り着き、開いた襖から、縁側に横になっている由紀を見つけた。
「由紀!?」
慌てて駆け寄り、呼吸を確認しかけるが、スヤスヤと気持ち良さそうな寝息が聞こえてきて、ホッと胸を撫で下ろす。
「たくっ…、驚かすなっての…」
呟いて、由紀の横に腰かける。
「…全く起きる気配を感じねぇ」
ツンツンと頬をつついてみるが、身動ぎひとつしない。
雷丸は苦笑して、
「しゃーない。苺大福は置いてってやるか」
由紀の枕元に苺大福の包みを置いて、立ち上がる。
「またな、由紀」
眠る由紀に背中越しに手を振り、雷丸は茶の間を後にした。
「苺…大福…」
さて、次の来訪者は誰?
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