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『俺さ、最近飼ってたペットが死んだんだ。』
んなこと言われなくても分かる。
『すんげー可愛がってたんだよ。皆はちょっと嫌うけど、俺もう溺愛しててさ、特に家族の中で俺はソイツに懐かれてたんだ。』
そりゃそうだろうな。今お前の肩の上に引っ付いてるよ。
『ある日いつものように朝、ソイツに餌をやろうと様子を見に行ったんだ………居なかったんだよ。ソイツ。』
今ソイツは、勝手に何処かに行ったりしてごめん……ってお前に言ってる気がする。
『一生懸命探したんだが、見つからなくて………でも、それから一週間経ったら』
「…………」
『見つかったんだよ、ソイツ。俺の部屋で。母さんの悲鳴が聞こえてさ。』
「無事だった…のか?」
『いや、きっと何処かで事故にあったんだろうな。全身がボロボロだったんだよ。俺さ、ソイツをそっと抱き締めて。何でいきなりいなくなったりしたんだ、ずっと心配してたんだぞって泣きながら言ったんだ。』
『そしたら、ソイツ、動かなくなってさ。俺、今までありがとうって言えなかったんだよ。お前と一緒に生活できて楽しかった、今までありがとうって。』
「大丈夫。きっとお前の気持ちはソイツに届いてる。いや、必ず。」
だって、お前のそばにいつもいるんだから………
最後に。
お前、いい加減ゴキブリとか変なのペットとして飼うの止めような。
それに、お前のペット殺ったの間違いなくお前の母さんだから。
ま、いつか分かるかな………
ーー第一話・完ーー
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