第1話

2/2
前へ
/28ページ
次へ
『俺さ、最近飼ってたペットが死んだんだ。』 んなこと言われなくても分かる。 『すんげー可愛がってたんだよ。皆はちょっと嫌うけど、俺もう溺愛しててさ、特に家族の中で俺はソイツに懐かれてたんだ。』 そりゃそうだろうな。今お前の肩の上に引っ付いてるよ。 『ある日いつものように朝、ソイツに餌をやろうと様子を見に行ったんだ………居なかったんだよ。ソイツ。』 今ソイツは、勝手に何処かに行ったりしてごめん……ってお前に言ってる気がする。 『一生懸命探したんだが、見つからなくて………でも、それから一週間経ったら』 「…………」 『見つかったんだよ、ソイツ。俺の部屋で。母さんの悲鳴が聞こえてさ。』 「無事だった…のか?」 『いや、きっと何処かで事故にあったんだろうな。全身がボロボロだったんだよ。俺さ、ソイツをそっと抱き締めて。何でいきなりいなくなったりしたんだ、ずっと心配してたんだぞって泣きながら言ったんだ。』 『そしたら、ソイツ、動かなくなってさ。俺、今までありがとうって言えなかったんだよ。お前と一緒に生活できて楽しかった、今までありがとうって。』 「大丈夫。きっとお前の気持ちはソイツに届いてる。いや、必ず。」 だって、お前のそばにいつもいるんだから……… 最後に。 お前、いい加減ゴキブリとか変なのペットとして飼うの止めような。 それに、お前のペット殺ったの間違いなくお前の母さんだから。 ま、いつか分かるかな……… ーー第一話・完ーー
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加