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名前は優夏。俺と似たような名前だな。
親の事情でこっちに転校してきたらしい。どんな事情かって?そんなの知らん!
制服が静学のまんまなのは、急すぎて四季見高の制服が間に合わなかったらしい。
HRが終わるとさっそくクラスメイトに囲まれていた。俺が。
「彼女とはどんな知り合いなんだよ~!!」
と大樹に襟をつかまれ、ブンブン振り回された。
「さあ、吐け!!吐くんだ!!」
「や、やめろ…本当の意味で吐いちまう」
そう言うと大樹は襟を放した。
「どういう関係だ!!」
周りにはクラスのほとんどの男子。むさくるしいな。
「どんな関係だっていわれても、朝会ったばっかりだし」
「じゃあ、なんだよ運命の人って?」
「知るかよ!彼女に聞けよ」
と言ってみんなで左の席に座っている彼女を見る。
元々左の席には大気が座っていたのだが、竹中の余計なお世話のせいで、大気は後ろの席に追いやられ、優香が隣に来たのだ。
優夏も女の子たちに囲まれ、色々聞かれている。
ちょうど同じようなことを聞かれてたのか、
「探していた運命の人なんです」
と答えていた。
「じゃあ、朝、会ったってことは信じよう」
信じようとかじゃなくて、事実ですから。
「どんなシチュエーションだったんだ?あんなに彼女はときめいてるんだから、劇的だったんだろうな?」
「いや、そうでもねーよ」
と言って俺は朝の出来事を話した。
「な、な、なんて羨ましいシチュエーション!!」
と大樹は興奮していた。
「曲がり角でゴッツンコ出会いが漫画やアニメ以外で起きるなんて!!
パンは!?パンは咥えてたか!?お前まさかパンツ見たんじゃねーだろうな!?」
「なんだよそのこだわり!少しは落ち着けよ!!」
「ゲフッ!!」
見事に決まったボディーブロー。そうして、大樹は沈んでゆく。
「お前なんて呪われてしまえ~」
という言葉を残して。
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