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どこか気のふれた人間なのだろう。
そう解釈(かいしゃく)した、班長の春日井は、怒りがこみあげてきた。
自分たちの任務(にんむ)と存在(そんざい)を、台無しにしてくれたこの男に対して、
「何をしている! トラックから降りろ!」
と叫び、近づいていった。
春日井淳平は28歳で、今年の冬に、最愛のひとつ年下の妻との間に、男の子をさずかったばかりだった。
国の最高機関である国会の警備と、ときには天皇陛下の護衛(ごえい)をすることさえある、名誉あるこの職務に、誇(ほこ)りをもっている。
しかし今まさに、この侵入者によって、その誇りを汚されたのだ。
運転席の男は、ニヤリと口元に笑みをうかべると、降りようともせずに、手元でなにかを操作(そうさ)した。
「聞こえているのか! トラックから降りるんだ!」
春日井がもう一度さけんだとき、トラックのコンテナがゆっくりと自動でひらきだした。
春日井が、コンテナに目をうばわれた瞬間、メガネの運転手は窓から銃をつきだして、春日井淳平の額(ひたい)を撃ち抜いた。
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