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その日のデートはどこか特別でした。
記念日でもないのに、元カレが柄にもないお洒落な鉄板焼屋さんのコース料理を食べに連れていってくれたり、普段は元カレが嫌がる大型モールでショッピングしたり。
私はただ楽しいだけで少しも変だと思いませんでした。
……気付いていても何も変わらなかったでしょう。
そして、駅のホームに着いて、離れたくないと甘える私に元カレは、急に辛そうに話し始めました。
「まゆと付き合うずっと前から、体の関係が続いているひとがいる。
俺の子供を2回妊娠してて、その2回、俺に言えずに堕ろしていたことを初めて知った。
そしてまたそのひとが妊娠した。
まゆには俺よりもいい人がきっといる。
まゆと今ここで、別れたい。」
私は信じられずに何度も何度も聞き返しました。
元カレは「ゴメン」しか言ってくれず、私は揺るがないものを元カレに感じました。
私は諦めるしかありませんでした。
元カレの去ったホームで、私は頭が痛くて痛くて重たくなるほど泣きました。
さっきまで、数分前までの甘い2人の楽しい時間が嘘のようでした。
本当に嘘だったのでしょうか。
嘘になってしまったのでしょうか。
私は泣いて泣いて、泣き止みそうになるとまた元カレの笑顔が浮かんできては滲んで泣いて、泣き続けました。
元カレの相手の女性が、
元カレの子供を妊娠した女性が、
私の親友だったというのでしょうか。
元カレが元カレになった日に親友になった親友が。
こうちゃんと親友のまゆが。
信じられません。
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