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祖母は、判官贔屓をしない。優秀で、人当たりも良くて、旅館の『顔』になるのなら誰でも平気で。旅館では女は女将に、男は主任になる。祖父も旅館では、主任をやっていた。仕事だけは真面目だったらしくて。仕事中は酒も呑まなかった。
本当に世間からしたら実直で。だからこそ、祖父の葬式で明らかにされた事に耳を疑った者もいたらしくて。『酒好き』『女好き』尚且つ『妾』も複数いて、『子供』を作っていて。祖母は祖父の妾の事も人数も子供達も知っていた。知っていたのにも関わらず、何も言わなかった。知らない振りをしてきた。伊達に生きていない。
そんな格好良い生き方の祖母がいるから、『跡取り』も相応しい人間でなければならないらしくて。祖母は気にするなと言ってたし知らん振りをしていたけれど。世間は放って置いてはくれなかった。
世間からも常連客からも地元からも注目されている家系。名前よりも、旅館の名前よりも、有名な家系。百聞は一見に如かず、なのにね。
兎鳥 小百合。名字の読み方は、『ととり』。祖母の名前。旅館名は、伏せておく。祖父の名前は、兎鳥 誠太郎。良い名前。名前の通りの生き方ではないけれど。祖父からしたら、名前の通りの生き方かもしれない。
兎鳥 誠一郎。二人の子供の長男の名前。
物静かな、叔父さん。
兎鳥 静夜。次男で、ぼくの父親の名前。
『誠』という字は、受け継がなかったみたい。名前の通り物静かで無口。
兎鳥 葉華。名前の読み方は、『はな』。
祖母に似た綺麗な顔立ちの、叔母さん。ぼくは、『姉さん』と呼ぶ。というより呼ばないと、冷たい。
兎鳥 諒。名前の読み方は、『まこと』。
時々、雑誌のモデルもやってる。
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