愛佳症候群

10/48
前へ
/71ページ
次へ
現実はこんな風にやってきた そしてお互いに知らないまま、交際がスタートした 「…はぁ…彼氏ができた…と。」 「まぁ、あっちにも彼女いるんだろうけどね。そこがまた燃えるっていうか…」 由美は驚いたままで何も聞いてこようとはしない あたしもわかっていた きっと、すぐに終わるって 「おー、大分治ってきたじゃん?」 週に一回の診察 先生は慣れた手つきで足首の動きを見る 「…先生は何であたしに付き合う?って言ったの?」 「顔」 あー、一番下らない理由 先生はフッと笑ってあたしの頭を撫でた 「顔じゃなくて、何か冷めてるとこに惹かれた」 「…それ、どういう意味?」 「恋愛にキャーキャーするタイプじゃないでしょ。俺もだからわかるんだよね」 「…へぇ…」 「悪いけど、俺は愛佳に本気じゃない」 「知ってる。あたしもだから」 本気じゃない じゃあ…何で恋人という形なんだろう…
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加