プロローグ

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 今日転校してきたばかりの香山みらのと俺は、学校の屋上にやって来た。  昨日まで春休みだったので、屋上は全く掃除がされていない。  所々鳥の糞が落ちていたり、舞い上がってきた茶色い桜の花びらが落ちていたりと、お世辞にも綺麗と言える状態ではなかった。  あまりの汚さに俺はここに長居したくないなと顔を顰めた。折角女の子と二人きりでいるのに、ムードがないにも程がある。  香山は小走りで俺から離れた。適度な距離を取ると、香山は俺に向き直る。日光のせいか、目の前にいる香山の髪の毛が金色に輝く。  確か香山はもっと黒髪であった。  そんなセミロングでストレートな髪の毛が風になびく。
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