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「で、明日はどうします?」
「決まってるだろ。あのお方に言われた通り、二十人の人魂(ひとだま)を回収するんだよ。」
ビジネスホテルの一室。ほのかにゆらめく明かりが、暗がりの部屋を照らしている。耳を澄ませば上下関係がすぐに分かる。丁寧な口調の方は、髪型は七:三に分かられ、目つきは鋭い。対するもう片方は、白髪交じりで恰幅の良い中年おやじだ。
二人とも椅子に腰を掛けており、遠目から見れば、普通の上司と部下だ。だがしかし彼らが放つ雰囲気は、普通とはかけ離れていた。張りつめた空気がただ無常に流れている。
「あのお方ってのは誰だ?」
話しをしていた二人は身体を震わせ勢いよく立ち上がり、声がした辺りを凝視した。
そこに立っていたのは端正な顔立ちをした青年。活発そうで、優しそうな顔をした青年からは想像出来ない憎悪を感じさせる言葉。
二人は、青年のただらぬ雰囲気に思わず息を飲んだ。
「だ、誰だお前は!」
相手に畏怖を悟られぬようになのか、繕うような強気さだ。しかしそんな言葉に威圧などされず、淡々と質問をする。
「もう一度言う、あの方ってのは誰だ?」
先ほどよりも憎悪のこもった台詞が、凍ったような空間を形成した。
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