オニノカミノ

6/15

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ドアが開く。どうやらチェーンや鍵などはかかっていないようだ。いささか不用心だとは思うが、そんな心配は必要なく、逆に部屋の中をみればいままでの心配がバカバカしくなる。 六畳間の部屋の一角に監視カメラの映像が張り巡らされている。街の様子や通行人の顔がよく見てとれる。そしてそれを凝視する一人の男。後ろ姿を見るだけで、体型はぽっちゃりしているのだと分かる。 青年は無言のままドアを閉め、男のいる部屋に入り、そしてコタツで暖をとろうとする。 「ん?」 まだ冷たいコタツに、もどかしさを感じながら、机上にある菓子袋を手にとる。 「期間限定・・」 その文字に完全に意識を持っていかれ、さらに食べてしまおうかと言う欲が生まれた。 前を向く。男は画面を見つめながら、時折独り言を呟いている。 ーーこれはチャンスだ。 すかさず青年は、菓子袋の封を切り中身に手を伸ばす。 「お・・、これはなかなか・・」 俺もまた、菓子を食べながら、時折独り言を呟いていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加