オニノカミノ

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「言え」 唐突な言葉に理解が追いつかないかった。しかし、青年は微かに身体を震わせていた。 「何のことだよ・・?」 あくまで分からなかったフリをして、なんとかやり過ごそうとしているようだ。 「とぼけるな。冬期限定ポテトチップスコーンポタージュ味がこの机の上にあったはずだ。」 だが相手も引く様子はない。先程より低い声で恫喝してくる。 まさしく背水の陣だ。これ以上追及されたら確実にばれる。それは誰よりも青年が理解している。 おもむろに太った男はゴミ箱の中を覗き込み、何かが分かったかのようにうなずき、不敵な笑みをこぼす。 「立てよ」 その命令を聞いた途端、今までの思考が一旦停止し目の前が真っ白になる。 少し間をおき、青年は重い体を起こすかのように立ち上がる。もちろん、懐に隠した菓子袋は重力により下に落ちた。 「これを見てまだとぼける気か?」 「・・まぁまぁそう怒るなって。俺と拓ちゃんの仲だろ。」 そう言いながら、青年は正面にある垂れ下がった紐を下に引く。パチ、パチっと光を散らした後、部屋中が明るく照らされる。 今まで暗がりだったので、よく分からなかったが今は二人の姿がよく見てとれる。 太った男は、いわゆるオタクメガネをかけており、立秋の肌寒さを感じさせない軽装である。青年の方は明るい茶髪にストレートな髪型、これだけ見ても太った男とは全くの対照である。
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