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拓ちゃんと呼ばれた男は、ボサボサの黒髪を掻き回し、小さくため息をつきながら小さくため息をつく。
「・・ま、多めに見てやるよ。で、どうだったんだ?収穫は?」
肘をつきながら青年に尋ねる。すると青年は、小さく首を振り成果がなかった事を暗示させた。
「そうか・・。」
特に何の様子の変化も無く、太った男は独り言のように呟く。
短い沈黙。その静けさを破るかの如く青年は口を開けた。
「ただ、やっぱりあいつらは人魂集めを行っている。それも沢山の魂を・・」
その言葉を受け、太った男は間髪いれずに核心部に触れてくる。
「今回の騒動の裏に、あいつがいると考えてんだろ。」
藪から棒に、と普通に人は答えて しまいそうだが、青年は真顔で小さく頷き、目の前の男を見据える。
「あぁ、俺を神にさせた男。・・破壊神シヴァをその身に宿す奴が今回の事件の黒幕だろうな」
太った男もその神の名前を聞いた瞬間にわずかだが、眉間にシワがよった。その顔は邪険という感情を瞬時に理解させるものだった。
「今回の事件・・、調べるのはいいが、最低限の注意はしろ。あいつは・・」
「三神だろ、分かってるよ・・。あいつがどれだけヤバイ奴かなんて。だけど調べなきゃならないんだ。17年前の真相を・・」
太った男の言葉を遮り、拳を握りながら語る青年は、声質のやわらかさからは想像できない力強さがあった。
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