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緋影の額から汗が滴り落ちる
左手の『神力』は凝縮させながら小さくしていき、右手の『意識』は炎に焙られる
微かに声が聞こえる
だが、何を言ってるのか判らない
シュヴィは、彼女の両耳を塞いだ
緋影はその行為で、それは聞いてはならない『もの』と判断した
シュヴィの顔が歪む
彼には聞こえているのだろう
『それ』は、歪んだ恋慕の声
歪んだ心の声
相手の苦痛を望み、殺意に悦び、裏切りに嘲笑う
そんな想いと声
緋影の頭にシュヴィの額が当たった
泣いているのか、怒っているのか、それは判らないが、耳に当たる彼の手が震えていた
緋影は集中を切らさない様に、前にある水晶玉に意識を向ける
約5時間掛かって、作業は終了した
「………はあっ!…疲れたぁ……でも出来て良かった」
シュヴィがタオルを持ってきて、緋影に渡しながら
「初めてではないだろうに……何故だ?」
「ありがと……水晶玉でするのが初めてなの…力は私の中に入れて、意識は掌に集めて封印するか消滅させてるから……この場合、水晶玉でしたのは『神力』を中心まで運ぶ為……貴方は、体の中に入れたく無かったんでしょ?」
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