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「何すんだい!止めとくれよ!切断した足を見てどうすんのさ!」
「……失った足の代わりに義足を着けようと思って……大丈夫ですよ…慣れない内は痛みがありますけど、慣れると走る事も出来ます」
確かにその『形』は、足に見えなくもない
だが、女性にとって今まで見た事も聞いた事も無い故に、余計に恐がり
「やだよ!…そんな物を着けたって、一緒だろ!?」
「…でも…」
尚も言いたそうにする緋影に、シュヴィの手が彼女の肩にかかり
「……緋影……時間だ……長居は出来ぬ」
彼の言葉に緋影は振り向き、残念そうな顔をして頷いた
持っていた義足をヒースに渡し
「『これ』…あの人が着けたいって言ったら、着けてあげて…着け方は、後で紙に書いて送るから」
意気消沈を絵に書いた様な緋影に、ヒースは頷き
「……解った………母さん…ありがとう…来てくれて嬉しい……」
「…いいよ……『今度』又、来るよ」
ヒースと抱き合い、サリアと抱き合い、シュヴィと緋影は銀狼に変化したフェームの背中に乗って、神界に帰って行った
「…あなた…………緋影様は」
「あぁ…たぶん、もう来ないと思う…学生の時と一緒だな…『恐れを持つ者』に母さんは『教えない・会わない』」
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