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ロアル国から遠く離れた、モワ国のある歓楽街
そこにロアル国の男性貴族1人が、従者を連れて観光に来ていた
めぼしい観光はしたのだが、やはり独り身と言う事で『女』が欲しくなり、こうやって酒場を彷徨いている
「……どこの国も一緒だな……ロアルでも『遊び尽くした』し、何か面白い所はないかな」
従者と一緒に漫ろ歩きをしていると、路地裏から男が出て来て
「…哥(にい)さん…『珍しい妓(こ)』が居るんだけど『遊んで』かないか?」
と貴族に声をかけて来た
貴族は、侮蔑の顔を男に向け
「珍しい妓とはなんだい?…手足の無い娘かい?…だったら遠慮する…『そういう』のも遊び尽くしたぞ」
手を振ってその場から去ろうとしたら、男が腕を掴み
「珍しいっても、その妓は実は貴族の娘…だったら?」
貴族の足が止まり、男に振り向いた
「おいおい…気を引く文言にしちゃ、有り得ない文句だろ?」
男は顔を横に振り…本当だ…と言う
貴族はニマリと笑い、従者と一緒に男の後をついて行く事にした
妓楼館は路地裏を通り、道を一本隔てた歓楽街の奥にあり、更に奥に行ってその館に入って行く
その館は、外側は白いペンキで壁を染め、普通の館に見える
だが妓楼の証である、洒落た小窓から薄衣を着た女達が見え、従者は鼻の下を伸ばした
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