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玄関に入ると、ホールの中は女達が其々のテーブルに腰を落ち着けて、こちらを見ている
「ヤーン…お客さんかい?…」
ホテルのフロントの様な場所に、煙草を燻らす年老いた女が、男に声をかけた
「…あぁ…『レディ』のお客さんだ」
「あの娘かい…いいよ…と言いたいとこだけど、先客が居る…少し、待ってもらうんだね」
『先客』と聞いて男は、貴族に向かい
「すんません、哥さん…お急ぎなら、他の女を見積もりますが」
揉み手をして謝った
「……この私を待たせるか…二番煎じはごめんだな……帰るか」
貴族がそう言った時、2階から1人の男が降りてきた
フロントに居た女は
「おや…お帰りですかい…又のお越しを」
その先客は、こざっぱりした服装だが、どこか田舎臭さを感じさせる
フロントの女が男に合図を送った
「……哥さん…少し待って下さい……様子を見に行きますんで」
ペコペコ頭を下げながら貴族に言って、階段を上がって行き奥の方へと姿を消した
貴族は、フロントの女に顔を向け
「貴族の娘が居るって聞いたが…どういう伝手で来たんだ?…本当なら、誘拐か行方知れずで国かギルド経由で通達書が出回る筈だが?」
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