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「お前は何者だ?…名前ではなく『なんだ』?」
「痛いから離して」
どうやら魔界神の指が、緋影の腕に食い込んでいたらしい
手を離すと、彼女は椅子の影に隠れた
彼はもう1度聞く
「お前は、『何者』だ?」
椅子の影から顔を出し
「私は……人間だ」
魔界神の頭に『?』が浮かぶが、知識の中にあったのか
「人間か…進化の過程で発達し、世界神がその心に、光と闇と知恵を持たせた…その人間が、何故ここに?」
緋影は顔を横に振り
「……判らない…『他の世界』から出たら『ここ』だった……私は『世界から世界へ渡る放浪者』だ…」
椅子の影に座り、話を続ける
「1つの『世界』で何年間か暮らしたら、次の『世界』へ渡る…そうして生きてきた」
魔界神は椅子に座り
「こちらに来て座れ…そこだと、話が聞き取り難(にく)い」
椅子の横を指すと、緋影は魔界神に向いて座った
「知識の中の人間は『生命力は強いが短い』とある…お前は、どれだけ『生きて』おるのだ?」
緋影の体が一瞬震え、彼は更に質問を続けた
「…先程の『もの』と『形』は、なんだ?…我は怯んでしまった……お前は、我の目を見て『綺麗』と言ったが『綺麗』とはなんだ?」
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