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「『綺麗』を知らない?」
キョトンとした顔で、魔界神に聞き返す
「『綺麗』とはなんだ?」
「自分の目に映る『物』…心を感動させる美しい物」
魔界神は緋影を見て
「では、お前も『綺麗』なのだな」
微かに笑った
だが、緋影は外方(そっぽ)を向き
「私は『綺麗』とは言われたくない!」
「何故、言われたくないのだ?…お前は言った…『綺麗』とは、心を感動させる物美しい物と言った……我の目から見て、緋影は美しい物だ」
緋影は立ち上がり
「私は、そう言われるのが嫌なんだ!」
叫ぶ様に言い、腕を振って筋を出し、その中に消えて行った
「あ……我は、何か悪い事を言ったのか?…解らん」
頭を振り、背凭れに凭れて、目を瞑る
「zzz…zzz…zzz」
又、寝やがったよ
こいつ
ふと目を覚まし、周りを見る
緋影が居るのかと思った
魔界神は考え、自分は誰かと話すのが初めてだと知る
目が覚めても何も無い
『何も無い』から、話す必要が無い
「話すとは、話せるとは、案外楽しいものなのだな」
魔界神も永い時を生きている
だが『独り』を『孤独』として、捉えていなかった
今、魔界神は『独り』を『知る』
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