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「この子を大病院に移す手配をするからここにいる患者たちを頼むよ。
あと、この子と同じような症状の子が現れたらすぐに隔離するように!」
大学病院に移す手配書を書きながらロイは早口に指示をする。
回りにいた看護婦たちは駆け回りながらもロイに敬意がこもった返事をする。
「お言葉ですが、今はどこの病院も患者で込み合っていて患者を引き取れる状態ではないみたいです。」
パティーが眉をひそめながらロイの耳元で囁く。
だがロイはそんなことわかってると言わんはわかりの瞳でパティーを見る。
そしてうすい唇を不敵に上げる。
「心配するなよ。この世の中には話術っつーのが存在るんだよ。」
口調こそ自信たっぷりだが、それをうなずける力が彼にはある。
「…そうね。忘れてたわ。」
パティーは呆れ半分、尊敬半分といった具合の表情で答える。
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