始まりの死

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その日は例年よりはるかに上回る真夏日だった。 真夏日なんて生温いものじゃない、猛暑日だ。 その日だけで何台ものクラーが故障し、家電を取り扱う大手企業の顧客対応電話はひっきりなしにオフィスに響き渡った。 それと同様に社員も半ばヒステリックになりながら慌ただしく動いていた。 この日だけで電話恐怖症があらわれたぐらいだ。 忙しかったのは電気会社だけでなく、カンカン照りをこす灼熱の太陽光によって大勢の熱中症患者が次々と病院に運び込まれた。 救急車が患者を運んでは連れての繰り返しで救急車のサイレンが絶えなかった。 アスファルトさえ溶けだしてしまいそうなそんな猛暑日に事件は起こった。
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