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そしてなぜか
ほぼ初対面の人とファミレスに。
ドリンクバーだけ注文して、向かい合って座りかれこれ数分。
向かいの羽瑠は椅子にふんぞり返ったり、テーブルに顎をつけてみたり、沈黙に耐えかねた私は
「でっ?」
ストローをくわえたまま目を丸くした羽瑠は、次の瞬間
「ははははは!でって!でって何!」
ヒーヒー言いながら爆笑。
いえいえ、笑ってもらおうなんざこれっぽっちも思ってませんが。
「喋ることないなら帰るけどっ」
顔を紅潮させて立ち上がると、笑い声はピタリと止んだ。
一瞬固まって私を見つめたあと、目を伏せて
「ごめん…ちょっと緊張して…」
「……きんちょー?」
どの口が言ってんの…
「何喋ったらええんかなって。
…あ、とりあえず自己紹介か」
照れ笑いしながら自分のことを話し出した。
「新田羽瑠、18歳、高校中退しておとんの仕事を手伝ってる。あ、工務店な。んーと、5月にあのスタンドであんた見ていいなーと思って、そのあともっかい見てやっぱりええなって。で、もう告ろうと思ったのが今日。」
一気に喋って、どう?とでも言うように達成感すら滲ませてニコニコ笑う。
そんな羽瑠をどう捉えたらいいか戸惑う私は
「あ、そう…」
と歯切れの悪い返ししか出来ず、後が続かない。
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