その少女にご注意を

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そこにいたのは、金髪の男だった。 外見はまるでホスト。こんな奴が学校にいていいのかというくらいのホストのオーラがでている。顔は整っているのだが、前髪が長くて左目が隠れていた。 『生きてたんですか、海乃坂(ウミノザカ)先生』 海乃坂斗真(ウミノザカトウマ) 正真正銘の龍桜高校の生物学教師である。広島出身のため広島弁で話すが当たり前に標準語も話せる。某有名名門大学卒業生の25歳。 「生きとったって、失礼じゃのぉ」 『昨日はいなかったじゃないですか。あたしらの授業あったのに。サボりですか?』 「…わしをなんじゃと思うとるん?」 『女子生徒にセクハラ紛いの授業を行う最低最悪のホスト高校教師ですが、何か?』 両者笑いながら言っているが、目は笑っていなかった。その目からは火花が飛び散っているように見えた。 しかし、ヘラヘラと笑う海乃坂にもう用事はないらしく座り込んでいた優亮の腕を引っ張り強制的に立たせると、自分の席に座り赤色のヘッドホンをした。 「ってか、なんで叩いたんスか」 「ん?暇つぶし」 「はぁ!?」 「教師も案外暇なんよ。最近はテスト作ったりと忙しかったから、こういう時間が欲しかったりするし。それにわしは担任もってないから余計に暇なんじゃよ」 それでも教師か、という目線を教室内から受けているであろう海乃坂はヘラヘラと笑っていた。 海乃坂はふと思い出したように持っていたプリントの束を教卓の上に置き、黒板にデカデカと“次の授業までの課題”と書いた。 「次って言っても今日の6限目じゃけどな。頑張って終わらせぇよ」 語尾にハートマークが付きそうな甘い声で言い去っていった海乃坂。この日2年5組の教室からは騒音がなく、静かだったという。 「海乃坂、殺す」 『昼休み返上してやらなきゃ終わらない量だね。海乃坂先生、どうしてやろうかな?』  
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