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昼休みになっても小雪のクラスは、御飯片手に黙々と海乃坂が出した課題にひたすら取り組んでいた。
万年赤点で授業中は必ず寝る優亮すら教科書見つつ、小雪に聞きつつ課題をしている。
課題ごとき、と思うだろうが海乃坂の課題は難題ではないもののやらなければ“ペナルティー”があるのだ。
ある者は、生物準備室の大掃除(所謂、雑用)を1年間。
ある者は、昼休みにある放送で好きな子に告白する。
またある者は、海乃坂専用のパシリ。卒業するまで。
とまぁ、嫌な事をやらせるのが好きな悪質教師なのである。
「やべぇ、終わんねぇ」
『………まだまだね、どんだけプリントあるのよ。しかも両面印刷とかムカつく。紙とインクの無駄遣いじゃない』
「小雪、お前後何枚残ってんの?」
『……2枚半』
「えっ!?もうそんなに進んでんの!?俺、まだ5枚はあるんだけど!?」
叫ぶ暇があるなら1字でも進んだからいいのに、と思いつつ言わないのは小雪の性格。机の上に置いてあった優亮の消しゴムを優亮の額に見事に当ててみせた。
「痛っ!!」
『やれ。じゃないと純先輩呼ぶ』
「嫌だ!絶対女連れてくるじゃん!」
ぎゃーぎゃー泣き叫ぶ優亮にイライラしたのか、小雪は自分が持っていたシャーペンで思いっきり優亮を刺した。
「ぎゃーーーっ!普通刺すか!?お前!!」
『誰に向かってお前って呼んでるのよ。あたしに“普通”を求めないでくれるかしら?』
普通なんて平凡すぎて飽きちゃうわ。
なんて言いながらも黙々も手を動かす。
そして、時間は刻々と進んでいた。
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